~衆院解散・日銀会合のビッグウィーク、159円到達からの「空白の10秒」と4円急落の背景~
今週は衆議院解散の表明という政治イベントに加え、日銀金融政策決定会合が重なる、まさに「ビッグウィーク」となりました。 週初から底堅い動きを見せていたドル円は、強力な「円安株高」フローに乗り、もはや誰にも止められないような強気相場で週末を迎えようとしていました。
しかし、金曜日の午後からNYクローズにかけて起きたドラマは、多くのトレーダーにとって記憶に刻まれる1日となったことでしょう。159円台への上昇から一転、NY時間での4円急落!その裏にある日米の思惑を読み解きます。
■コンセンサス通りの日銀、一時は159円台へ
注目の日銀金融政策決定会合。結果は市場コンセンサス通り「政策金利の据え置き」でした。発表直後こそアルゴリズムによる瞬間的な円安反応が見られましたが、大きなサプライズはなく、ドル円はジワジワと下値を切り上げる展開となりました。
続く15:30からの植田総裁定例記者会見でもタカ派的なサプライズはなく、市場は「緩和継続」を確認。安心感からドル買い・円売りが加速し、ドル円はついに159円台へと乗せました。ここまでは、完全に円安強気派のシナリオ通りだったと言えます。
■疑惑の「空白の10秒」と片山財務相の発言
潮目が変わったのは、会見後の夕刻でした。 159円台で推移していたチャートが、わずか数十秒ほどの間に2円幅で急落したのです。
あまりに不自然かつ急激な円買いフローに、市場は騒然となりました。即座に「為替介入か?」「レートチェックか?」との憶測が飛び交う中、片山財務相は「為替介入したか、レートチェックしたかについてはお答えできない」と言及を避けました。

しかし、明確に否定しなかった点、そして変動の規模感(実弾介入にしては値幅が限定的だが、単なる売りにしては強烈すぎる点)を鑑みると、市場参加者の多くは「実弾投入前のレートチェック(為替相場水準照会)」が行われた可能性が高いと見ています。当局が本気で水準を意識し始めたというシグナルは、その後のNY市場への強烈な伏線となりました。
■NY時間の異変:コモディティ爆騰と「通貨強弱」の変化
欧州からNY時間に入ると、相場の景色は一変しました。 主役は「コモディティ」です。金(Gold)は驚異の5000ドル目前、銀(Silver)は100ドルに到達するなど、歴史的な強気相場が再燃。貴金属の上昇が止まらない中、裏側で進行していたのは強めの「ドル売り」でした。

※添付チャート(通貨強弱)をご参照ください。青線(ドル)と赤線(円)がクロスし、急激に乖離が強まっているのが見て取れます。明確な「ドル売り・円買い」へのシフトが発生しました。
東京時間のレートチェック疑惑で上値を重くしていたドル円は、このドル売り圧力に抗えず決壊。終わってみれば、一番の下げ幅を記録したのは流動性の高いNY時間となり、大引けには155円台まで下落。高値から実に4円近い急落で週末を終える形となりました。
■浮上する「日米協調介入」の可能性
ここで浮上するのが「日米協調介入」の可能性です。
単独介入であれば、ここまでNY時間にドル売りが加速するでしょうか? 先日からベッセント米財務長官がドル高是正を匂わせる発言を繰り返していたことを踏まえると、今回のアクションが日銀単独のものではなく、米国との合意形成の上で行われた可能性は否定できません。「今回の円安ドル高は、日米が本気で止めにかかっている」――そう市場に認識させるには十分な週末の値動きでした。
■来週の展望:FOMCと防衛ライン
来週にはFOMC(連邦公開市場委員会)が控えています。 現時点では政策金利据え置きの可能性が高まっていますが、今週末のドル急落とコモディティ高騰を受け、パウエル議長の発言やドットチャートの変化には通常以上の注目が集まるでしょう。
もし日米当局が「160円」を絶対防衛ラインとして共有しているならば、来週以降もボラティリティの高い展開が予想されます。155円という水準が「絶好の押し目」となるのか、それとも「トレンド転換の入り口」となるのか。来週は、為替市場にとって真の正念場となりそうです。
2026/01/24 投資助言者【馬】


