今週のハイライトは、何と言っても今年最後となるFOMC(連邦公開市場委員会)でした。
結果は事前のコンセンサス通り、25bp(ベーシスポイント)の利下げを決定。これでFRBは3会合連続での利下げを行い、2025年の金融政策を明確な「緩和方向」で締めくくりました。
しかし、マーケットが真に反応したのは、その実績よりもパウエル議長の会見です。「来年の利下げは1回は確実視されるが、その後のパスはデータ次第であり不透明である」という旨の発言が飛び出し「ハト派的な実績」と「タカ派的な将来への含み」が交錯。この消化難な材料に対し、各市場は複雑な動きを見せました。
■米国株式市場:安堵と警戒の綱引き
米国株(NYダウ、ナスダック、S&P500)は、基本的に「利下げ継続」を好感する動きとなりました。 3会合連続の利下げは、FRBが景気後退(リセッション)を回避しつつインフレ抑制に自信を持っている証左、すなわち「ソフトランディング期待」として受け止められ、市場の安心感に繋がりました。
一方で、パウエル議長が来年以降のペースについてフリーハンドを強調したことで、「インフレ再燃リスク」への警戒感も残留。これにより、ハイテク株などの一本調子な上昇は抑制され、高値圏での揉み合いやセクターローテーションが目立つ展開となりました。
■日本株式市場:円高圧力とダイバージェンス
日経平均株価に関しては、FOMCの結果を受けて慎重なムードが支配しました。 織り込み済みとはいえ、為替市場でのドル安・円高圧力が輸出関連企業の業績懸念として意識されています。

FRBが利下げサイクルに入ったのに対し、日銀は「利上げ」の機会を虎視眈々と伺っています。この日米金融政策の方向性の違い(ダイバージェンス)が鮮明になったことで、海外投資家による日本株のポジション調整(利益確定売り)が出やすい環境となりました。日経平均は歴史的な高値圏にありますが、5万円台に乗せると失速するような、上値の重い展開が続いています。
■為替市場:縮小する金利差と「底堅さ」の正体
FXトレーダーにとっての主戦場であるドル円相場は、明確な「ドル売り・円買い」の圧力を受ける週となりました。 日米金利差はFRBの利下げにより確実に縮小しており、キャリートレードの巻き戻し圧力が継続しています。パウエル発言により「来年早い段階での追加利下げ」が確実視されたことで、テクニカル的にもドルの上値は重くなっています。

しかし、ここで注目すべきは「想定以上の底堅さ」です。 「いってこい」の動きが強く、下げてもすぐに戻す展開が散見されます。週末要因や来年以降の不透明感からドルの積極的な買いは手控えられましたが、それでも円安トレンドが完全に否定されるレベルまでは落ちてきません。
通貨強弱を見ると、全体的に「円安・ドル安」の構図の中で、ユーロがジワジワと買われる展開となっており、ユーロドルでのドル安トレンドも鮮明になりつつあります。このドル安の流れが継続するか、来週の動きが鍵となります。トレーダーとして今、一抹の不安を覚えるのは、ファンダメンタルズと実際の値動きの間に感じる「乖離」です。
FRBが利下げし、日銀が利上げに向かうという教科書的な「ドル安・円高」要因が揃っているにもかかわらず、この「円安基調」の大きな流れは変わらないのではないか・・・そんな予感が拭えません。
その決定的な要因(真の需給や構造的な円売り圧力)がハッキリと見えてこない現状は、我々トレーダーにとってなんとも居心地の悪い「不安」として残ります。 この霧が晴れるのか、それとも深まるのか。来週に控える日銀金融政策決定会合でのマーケットの反応を、慎重に見極める必要がありそうです。
2025/12/13 投資助言者【馬】


