土曜日, 4月 4, 2026
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3月相場の幕開け「地政学リスク」が支配した1週間

波乱の幕開けとなった3月第1週。地政学リスクという古くて新しいテーマが、原油・貴金属・株式・為替のすべての市場を同時に揺さぶり、ベテランのトレーダーでさえ対応を迫られる局面が続いた。各市場の動きを丁寧に振り返っておきたい。


原油:中東緊張が「リスクプレミアム」を呼び戻す

米国とイランの関係悪化が改めて意識されるなか、エネルギー市場では眠っていたリスクプレミアムが急速に再評価された。WTI原油先物はホルムズ海峡経由の供給リスクを警戒した買いが週初から先行し、底堅い推移が続いた。

とはいえ、上値には世界景気の減速懸念という重しが依然として存在しており、一方向への強いトレンドには発展しなかった。「リスクオン」と「リスクオフ」が短時間で入れ替わる現在の市場環境を象徴するような値動きだったと言えるだろう。


貴金属:GOLDは「有事買い」と「利食い」が激突

安全資産の筆頭であるGOLDをめぐっては、今週も強烈な綱引きが続いた。地政学リスクの高まりと株式市場の不安定さを受けた買い需要が押し上げる一方、高値圏での利食い売りや短期筋のポジション整理が繰り返し重なり、上下双方向への値振れが大きく膨らんだ。

Silverをはじめとする貴金属全般にもこの余波は広がった。インフレヘッジや有事の買いという本来の需要と、投機的な短期売買が混在する構図は今週も変わらず、市場参加者の「手探り感」が値動きに色濃く反映されていた。


株式:日米主要指数が揃って翻弄された週

国内では日経平均が円相場と米国株の動向に挟まれ、方向感を定められないまま大きく上下する場面が続いた。米国でも事情は変わらず、NYダウ・S&P500・NASDAQの主要3指数がそろってボラティリティの高い状況に置かれた。

特に週前半はリスクオン・リスクオフの切り替わりが短時間で繰り返され、「どちらの方向にも振れやすい」状態が続いた。そしてこの不安定な週の締めくくりとなったのが、雇用統計発表後の株式市場の急落である。この点については後述する。


為替/ドル円:「乱高下の裏側」に潜む一貫したトレンド

今週のドル円を短期足だけで見れば、混乱の一言に尽きる。しかしチャートを引いた目線で捉え直すと、まったく異なる景色が見えてくる。

1時間足を確認すると、2月後半から続くトレンド構造――すなわち「安値と高値を切り上げ続けるアップトレンド」が今週も崩れることなく維持されていた。週の底値は152.270円まで差し込む場面があったが、3月入り後は上昇の勢いが一段と加速。週末には158.096円の高値をつけ、終値ベースでも157.822円と158円台直前で週を終えた。

「乱高下しているように見えて、実は着実に切り上げている」――この構造を見抜けるかどうかが、ドル円トレードにおいて今まさに問われている局面である。短期の揺れに惑わされず、大局観を維持することの重要性を改めて感じさせる一週間だった。


為替/スイスフラン円:200円突破の衝撃とSNBの牽制

もう一つ、今週の為替市場で強烈な存在感を放ったのがスイスフラン(CHF)である。

CHF/JPYの日足チャートを見ると、2025年春先の165円台を起点とした上昇トレンドがほぼ一直線に続いており、今週はついに204.014円という歴史的水準を記録した。約1年で40円近い上昇幅を積み上げた計算となる。

この背景にあるのは、世界的な不確実性の高まりに伴うスイスフランへの安全資産需要の集中だ。ただし、この急激なCHF高の進行に対し、スイス国立銀行(SNB)が為替介入を示唆するコメントを発し、市場に冷水を浴びせる場面もあった。SNBによるフラン高抑制介入は過去にも実施された前例があるだけに、市場へのけん制効果は少なくなかった。

注目すべき点は、CHFを含む為替市場全体のボラティリティが、株式やコモディティに比べて相対的に抑制されていたことだ。あれだけ派手に動いた株・原油・金と比べ、為替は「小動き」に見える――この乖離こそが、実はもっとも不気味なシグナルかもしれない。


雇用統計 ―― 「株は急落、為替は無反応」という不可解な二面性

週の締めに発表された2月米雇用統計(非農業部門雇用者数)は、市場予想を大幅に下回る弱い数字だった。

通常であれば雇用の悪化はドル売りにつながりやすいが、今回の為替市場は驚くほど静かだった。その背景には、発表前までにドル高ポジションが積み上がっていたこと、そして利下げ観測が一定程度すでに織り込まれていたことが影響していると見られる。

一方の株式市場は、雇用悪化を「景気減速の確認」として素直に受け取り、時間の経過とともに売りが加速。主要3指数が揃って大幅下落で週を終える結果となった。

同一の経済指標に対して為替と株式が正反対ともいえる反応を示した今回の構図は、現在の市場が持つ「整合性の欠如」を端的に映し出している。FRBが次にどのようなシグナルを出すかによって、この乖離が急速に修正される可能性もある。来週以降の動向から目が離せない。

2026/03/07 投資助言者【馬】⇨⇨公式サイト

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